過去に戻ろうとしてしまう

僕は高校入学と同時に恩師である先生が、黒板に「ようこそ、新たな世界へ」という掲示をした。当時これを見た僕はこんな考えもあるのかと思っていた。
このことも忘れ、学生生活を送っていたが、とうとう卒業の時がやってきた。その時、たまたまではあるが同じ先生が担任をしており、卒業の時も同じように「ようこそ、新たな世界へ」という掲示をした。ここで自分は新たな世界へ行くのだという自覚をおぼえ、不安と共に楽しみを覚えた。
ここまでは自分の過去の回想で、タイトルとは関連がないように思える。自分もそのような事は今まで思い出すこともなかったが。自分の過去を思い出した時に思い出したのだ。
生きるということには喜び、悲しみなどの様々な感情を伴う。その感情から逃れたくなる時、過去の時間を思い出し、それに浸ってしまう。でも、そういう感情を反芻したところで得られるものもない所か、さらに負の感情を掻き立てることになると思った。
かくゆえ、自分が考えたこうした感情から脱却して今を生きる力となる思考は、上記の新しい世界へ行くことである。
確かに私たちには良い過去を持っていることがあって、辛い時にはそれを思い出すこともあるかもしれない。だが、私たちは入学、卒業などの区切りを経て自分の歴史のピリオドを打っている。過去は作られるから出来ているのだから、過去を変えることは出来なくとも、過去を作ることは出来る。
冗長になってしまったが、私の言いたいことは過去に囚われすぎてもいいことは無いということだ。だが、過去を思わないのは無理だから、程々にしておくのが1番良いのだろう。